言の端々



2024
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悪の種 

  ・

さまざまな「欲望」と「怒りや恨みの感情」が起爆剤となる

無秩序の行動


おのおのの 対人環境で

劣化する化学反応のように

変容して落ちてゆく


通常の「自制心」や「理性」で抑えられずに生まれる

悪の構造



倫理教育の限界面



2023
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続 戦 争

   ・

懲り懲りの戦争報道

生と死は紙一重

命の重さと価値 を語る虚しさ




思い込み

洗脳

宗教観の違い

知の崩壊

選択肢の空中分解





“運命”と言い済ませられない 地球体の闇




2022
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戦 争

  ・

我田引水の極致

外交の失敗

正義と嘘の念仏合戦

黒歴史の序章

恐々とする終末時計




大切なのは個々の今の心持ち



2021
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ムカ から ホイ

  ・

ムカムカ

モヤモヤ

カリカリ

プンプン

イライラ



ホイホイ

ハイハイ

ウキウキ

ルンルン

ワクワク



シャンシャンシャン



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混沌と浄化
(Chaos & Catharsis )

  ・

混沌の世界から

不要と思われるものを そぎ落としてみたら

思わぬ調和が見えてきた


足し算だけではなく

引き算が結果的にプラスになることもある


そんな芸術があってもいいのではないか

 

疫病禍にも

引き算対策の徹底で

やがて好転も




2020
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変 容

  ・

意思を持たない新型コロナウイルスに

意思を持つ人間が翻弄されている


密になり過ぎた人間社会への警笛なのか

個の力が試されているのか



百年に一度と言われるウイルスの蔓延が

新しい時代への生活変容を加速させた



今こそ 時間の概念への問い直しや


熱い魂が宿る文化の創出がマスト



2019
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  ・

人は生まれたときには

眼が見えていない


やがて見えるようになるが

我が強すぎて

周りが見えなくなる


また見えてきたと思っても

ともすると

我れを失って

周りが見えなくなる


いずれ白内障で

本当に見えづらくなり


いよいよ生まれたときと

同じようになる


盲目の人の気持ちを

初めて知る


眼が見えるときにしておきたいこと

気づきたいこと



2018
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虚 栄

  ・

真の自分からの逃避

架空的自分の創造


やがてその虚飾が剥がれ

周囲の人から疎外される


それでも認めようとしないで

下降スパイラルへ




等身大からの再スタートが

上昇スパイラルへの第一歩



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ジェラシー

  ・

ライバルと言われる人々は

概して能力の距離が近いほど嫉妬し合う



何かで圧倒的に差をつけるべし




男と女の嫉妬は


あらゆる欲望を背負って行くから

重くなる


その妄想をひとつひとつ降ろして行くと

軽くなる



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話し上手

  ・

話題の引き出しが多い人の話は面白い


体験から生まれた話は面白い



危なっかしい人の話はもっと面白い


それでいて根底に節度を持ち合わせているのがいい



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心の負担を軽く

  ・

見返りを求めないと


決めたら


楽になれる



楽になれないのは


本気で心のスイッチを


切り換えていないから



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ある権力者

  ・

セクハラ パワハラ三昧


悪代官と言われてもニヤつくだけ


悪だくみのネットワークあり


必要悪とも言われる


補助金の仕組みの秘密を知っている


脱税に詳しい


高笑いをしてよく眠る



あなたはエライ


勝ち組だから




敬愛される権力者は


パーソナリティのありように上下を問わず


人への尊ぶこころを忘れない



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競 争

  ・

人は「競争」社会に生きている

少しでも優位に立ちたいという行動

優劣や望みを選り分ける仕組み



共通の規範 法的統制を無視して

他者をドロップアウトさせようとすると

競争の域を脱して「闘争」へと移行する



競争をやめたら誰にも負けないのだが

そうもいかない



どのような戦いをするのか

どのような生き方をするのか

それが本当の勝負



自分のままでいることにも

何らかの戦いを強いられるとは



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プライドと共感

  ・

概して男性は「プライド」が高い

概して女性は「共感」を求める割合が高い


この性質をもっと早く知っていたら


トゲトゲしく言い放ったり

つっぱったりしたことも

違った展開に


大切なのは 一度は早めに打ちのめされること

物事を適切に客観的に判断できるかどうか


人の心持ちは社会との関わりの中で少なからず変容していく

気づきが早いか遅いかだけ


ちっぽけなことにこだわる人は

本質を手に入れた人の

本物の実力には

かなわないだろう



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忍耐力

  ・

現実的な力よりも

精神的な力が

難局を切り開くことがある

「忍耐力」もその一つ


紛争・犯罪など諸問題のカゲに

忍耐力欠如の やから在り



耐えることは自己成長と心の豊かさに必要不可欠

耐えることは成功への鍵



忍耐を向上のベクトルに変換する気概を

忘れてはならない


教育の場のテーマにも



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はっけよい   

  ・

たとえば相撲界

一門の確執 忖度


神事か

スポーツか

エンターテインメントか


無気力相撲に思惑チラリ


ブラック力士・ブラック部屋の公表?

ドーピングは?


ここにもお金と権力がからむ鬼物語


社会の縮図

社会そのもの



2017
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告 発

  ・

内部告発により

いくつもの会社 組織から

問題が表面化している


暴力 パワハラ 不正等には

勇気 告発力


ペン 

メール

SNS

レコーダー

正当性を立証できる証拠力


賢者の戦略



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排 除

  ・

悪を排除してヒーロー

異分子を排除してヒール


驕り 傲慢 慢心

ヒエラルキーの産物にして

権力構造の落とし子


一方 

安易な受容は

巨大ストレスの発火点にも



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TRY

  ・

10回トライして

7回成功しなかったとしても

たいしたことではない


プロ野球のチーム打率が

3割を越えることなど

ほとんど無い


プロサッカーのゴール率は

もっと低い



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NEWS

  ・

言葉尻をとらえる

揚げ足をとる

欠点をあげつらう

重箱の隅をつつく

粗を探す


こんな話題には

お腹いっぱい


フェイクニュース

オルタナティブ ファクトなるものは論外


求められるのは

真実管理の眼



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老 い

  ・

ときの流れは

成長 成熟 老化 老害を

もたらす



一方で

経験による老練さは

功利を

もたらす



こころの成長が

続くかぎり



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人のそもそも

  ・

人の身体は食べ物からできあがる


活性運動を伴い


内面は情報から



その量と質は

あるときを境に

自ら選択できる



食の摂り方 モノゴトの考え方 活性方法 を探ると

大切なことの必然と責任が 見えてくる



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  ・

ストレス解消

リラックス効果

免疫力向上など



ところを移して さまざまな症状を

緩和させる

転地療法



心から旅行を楽しんでこそ



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クレームと謝罪

  ・

物やサービスの損失感は

初期対応の悪さで肥大化する


許せる人

許せない人


許し方の美学



謝る人

謝らない人


謝り方の信条



堪忍袋の大きさと判断の性質は万別


ネット社会だからこそ

適切な早期対処が肝心


誠意と打算の配分を迷うことなかれ



企業 団体 国家も



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忖 度

  ・

おもんぱかることは

世にあふれている


あるときには美徳

あるときには見当違い


あるときにはいやらしく



心情のくみ取り合戦は

おもてに出るとモンスターにも



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エゴイズム

  ・

わがままの強い人が去り行くと

他の一人または複数の人が

身勝手を引き継ぐ


その場のエゴイズムの絶対量は

変わらないのかもしれない


生類の性(さが)


地球的な哲理



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純熟社会

  ・

独占から共有へ

共有から共感へ

共感から尊重へ

尊重から協調へ

協調から協力へ


共有と協力が 純熟社会へのプロローグ



2016
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怒 り

  ・

寿命を縮める‘怒り’

その性質は伝染するという


鎮めるには

さとすように話す

深呼吸をする

六秒数える

客観視する

文章にする


アンガーマネージメントは さまざま


できるなら わずかでもポジティブに

場と心を切り替えたい


楽しさや喜びの性質も

伝わっていくものだから



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百鬼夜行

  ・

思い込みお化け

煩悩の化身

転嫁の魔神

保身の妖怪

隠蔽怪獣

厚顔悪鬼

狡猾ゴジラ

謀略ろくろ首

総出演の天然色映画 上映中

七十五日後も公開



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ミステイク

  ・

一人の強い決断に 慢心のミス


グループの決断にも 過度な安心・集団浅慮のミス



肝心なのは いかに軽いフットワークでリカバリーできるか





風通しのいい体質でこそ



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五輪メダル

   ・

銀や銅のメダルに一喜一憂


隔たる達成感・幸福感


同じ心もようが

日々の生活にも


足るを知り夢のつづきへ


君は まぶしいメダリスト




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選 挙

   ・

利権の綱引き

思惑祭り


勝てば官軍 負ければ賊軍


本質は いずこに



どちらも足りていない



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は な

   ・

花は 自然界の神秘にして季節の華


人の心を癒してくれる万能薬

万能の美


あらゆるデザイン文化のモチーフや 愛・感謝・祝い・ねぎらいなどに

社会のかすがいとして古来から役立っている


だから花は 人よりエライ



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こ と ば  
 
   ・

ペラペラ・テキパキ・スラスラ

チクチク・トゲトゲ・ガーガー

モゴモゴ・トツトツ・ポツリポツリ


わざわいが 手ぐすねを引き

しあわせが 手まねきをする


足りず 過ぎず

マアマア・ソコソコ・ホドホドに



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賭けごと

   ・

煩悩のまま没入して

負のきっかけで眼を覚ます


あとになって損益を語り

うそぶく


当事者にタイムロスは 見えにくい

何ごとも



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らくちん

  ・

ぬるま湯は らくちん

脱力も らくちん

あれもこれも楽だと思っていることが
必ずしもいいことではないのかも

からだや気持ちに ちょっと負荷をかけてみるのが
いいあんばい

長距離走のコツ



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好きな絵

  ・

ひたすら数多く見る

立ち止まって 長く見ている
それが自分の好きな色 好きな形 好きな感覚

十人十色

ときを経て 好みの変化・深化も


こうやって いろんなことの目利きになるのか



2015
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笑  い

  ・

声が天にとどろくほど笑ってみよう

九官鳥がマネをするほど

笑いの神様があきれるほどに


外にも内にもいいことづくし


笑いは へんてこなご時世にも輝く

ささやかな平和のおくりもの



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薮の中

  ・

近くのトラブルから戦争にまで

嘘やごまかしが横行している


性善と性悪のさまよい・・・


競争社会の心の闇 ?


嘘をみんなで正す


嘘に近づかない

嘘を近づけない



2014
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と  き

  ・

私は時計という仮面をつけている


幸せをはこぶ神

あるときは不幸をもたらす悪霊として



ふだんは宇宙の膨張と共にある



万物に公平というおくりものを授けて

その生きざまを見ている


ずっと眠らない



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もったいない    
  
   ・

新しい‘とき’に寄り添わないと
もったいない

学んで知ってやってみないと
もったいない

打ち明けて打ち解けないと
もったいない

気の力と体力を鍛えないと
もったいない

心のよりどころがないと
もったいない

何かを成し遂げないと
もったいない

あきらめるのは
もったいない  



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旅川柳

  ・

SNSに

載せたいだけで

旅に出る

(リア充王)



一人旅

会話爆発

タクシーで

(実は寂しがりや)



善行後

名前を告げず

口笛を

(自己マン)



旅の宿

のれんに妄想

女湯の

(瞑想男子)



夢に見た

アバンチュールの

きざしなし

(現実に帰る夢追人)



酒に酔い

景色に酔って

われに酔い

(翌朝覚めた吾)



イケメンに

ことばとしぐさ

裏腹に

(揺れる女子)



旅歩き

食べ歩き過ぎ

肥えるのみ

(じっとお腹を見る大食漢)



気がゆるみ

財布の紐も

ゆるゆるで

(あとで青ざめる会計士)



パートナー

旅してわかる

いやなやつ

(減点法を学ぶ男女)


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美術川柳  
 
  ・

公募展 

弟子は入選 

師落選 
    
(人生を説く師)

 

自画像を 

描くことだけが 

癒し事  
  
(スーパーナルシスト)



キャンバスの 

地塗り得意と 

自慢する  

(左官工)



額縁を 

選んで落とす 

オークション 
  
(ほくそ笑む額縁商)



掛け軸に 

カビが生えても 

風流と    

(あとで必死に手入れする画商)  



抽象画 

展示のごとに 

天地逆      

(気分次第の展示マン)



白が好き 

芳名帖も 

真っ白け 
   
(閑古鳥)



美術館 

お金はないし 

ひと気もない
   
(館格差に悩む学芸員)



植物画 

描いてるときだけ

ベジタリアン  

(肉食獣)



あと付けで 

理屈をこねる 

アーチスト 

(雄弁会会員)



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Essay


(月刊えくてびあん 1993年11月号掲載)

ベネチア旅情  
  ・

ベネチアでは、車が走っていない。これは驚きだ。

これまでアメリカ・フランス・スイス・インド・タイ・インドネシア・・・と撮影旅行をして

いつもうんざりするのは車の多さだった。それも日本メーカーの車を見るたび、

うれしいような、申し訳ないような、不思議な感情にさいなまれていた。


環境破壊への問題提起をテーマとする写真を本格的に撮り続けて4年。

ブラジルで行われた地球サミットのイベントの一つ「世界環境フォトコンテスト」に入賞したのは

山積みの車のスクラップが被写体。二科展で入賞したのも自転車のスクラップを中心に据えた作品であった。

そのような訳で、つい、車公害のことに眼が向いてしまうようだ。


ベネチアの主な交通手段は水上バス。

程よく歴史感を漂わせた橋をいくつもくぐりぬけて到達したのが、カステロ公園。


創設以来、約100年を迎える「第45回ベネチアビエンナーレ」(1993)の会場である。現代アートの祭典。

各国のパビリオンが自国の作家をバックアップして芸術性を競っている。

日本の代表作家は草間彌生氏。無限に増殖する水玉や網目のイメージを作品にする彼女のパワーは、

どこからくるのだろうか。はかりしれないものがある。

16年間のアメリカでの生活が国際作家として活躍するベースになっているという。

レセプションにオノヨーコ女史と息子のショーン氏が駆けつけたのは、何より彼女の偉大さを物語っている。


会場では、牛のホルマリンづけや巨大なビニールハウスまでも作品化されている。

いったい芸術とは、美術とは何なのか。不可思議なのである。1000点を超えるコンテポラリーアートを前にして、

私なりの鑑賞方法がある。自慢ではないが、観るのは早い。おそらく普通の人より5倍は早い。

直感で面白いと思った作品の前でのみ、足を止める。

それを何度か繰り返して自分の好きな色・形・傾向を再認識、あるいは新発見をする。

この経験は、その後鑑賞する展覧会のセレクトに迷わず、アメニティ感覚を認知して日常生活の中に生かすことができる。

“切り捨てゴメン”の勇気と眼力を養うことが大切ではないかと思う。


会場を出て近くを散策することにした。人が一人やっと通れるほどの道幅。そのような路地が多数ある。

自由な風が通り過ぎゆく路地裏にこそカタルシスがころがっている。

飾らないありのままの景観、吹きさらしの路傍、人の気配。そのすべてが私のイマジネーションを刺激する。

日差しは強い。洗濯物を干すロープが、道路越しに二階建ての家と家を繋いでいる。見事に乾きが早い。

下町の人々の心のふれあいのような、あたたかさが感じとれる。猫も元気だ。天敵の“車”がいないせいもある。鳩も多い。


私の作品の被写体が最近、無機質なものから動植物のような有機質なものへと変わってきた。

これは“生なる地球のうるおい感”、言いかえると“水”への畏敬の念が私の中で広がっているのだと思う。

そのような思いが北イタリアの水の都「ベネチア」、この地に私を導いたのだろう。


水の流れに沿って人々が集まり、集落が形成され、やがていくつもの生活ドラマが展開される。

森の動物たちが元気にはね回っているのも、都市の緑がうるおうのもすべて“水”の恵みがあればこそ。

万物のエネルギーとのつきあい方を模索することは、人類の永遠のテーマかもしれない。


今回の旅で得たもう一つの“うるおい”は、ツアーメイト30人との交流であった。

大学教授、美術評論家、学芸員、画廊主、美術教室の経営者、会社社長、OL、学生、等々。

今を輝いて生きている人たちとのひととき。美術鑑賞に始まって、水上バス、ゴンドラ、突然のスコール、落雷、

早朝の散歩、レストランでの歓談、ショッピングなど、この共有した珠玉のような時間を決して忘れることはないだろう。


旅の重さを実感した。

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